健康情報

アレルギーHEALTHCARE

愛育病院副院長 小児科部長 浦島 崇 監修

アレルギーとは

アレルギーとは、本来危険ではない異物に対して過剰に免疫反応が起こる病気です。例えば、花粉症であれば、スギなどのアレルゲンを感知した時に、鼻水やくしゃみで体内への侵入を防ごうとしたり、鼻の粘膜を腫れさせて鼻を詰まらせ、花粉が鼻の奥まで入らないようにしたりする反応が起こります。

アレルギーの種類

代表的なアレルギーとして、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギー、花粉症などがあり、アレルギーを引き起こす原因物質は「アレルゲン」または「抗原」と呼ばれ、アレルゲンの種類、症状、アレルギーの場所などから病名が付けられてます。名前の付け方が複数あるためダニアレルギーで喘息とアレルギー性鼻炎を持っていたり、アトピー性皮膚炎でダニアレルギーと金属アレルギーがあるなどします。

症状の場所から付けられた病名
気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎
アレルゲンから付けられた病名
ダニアレルルギー、花粉症、薬物アレルギー、金属アレルギー
症状から付けられた病名
蕁麻疹、アナフィラキシー、新生児・乳児消化管アレルギー

アレルゲンの種類

アレルギーの原因となる物質をアレルゲン(抗原)と呼び、食物アレルゲン、吸入アレルゲン、接触アレルゲンなどに分類されます。子供のアレルギーで特に問題なのが、吸入アレルゲンと食物アレルゲンです。

アレルゲンの種類

吸入性アレルゲン 室内 ほこり、カビ、ダニ、畳、ソバガラ、ペットの毛、衣服、寝具(綿、絹、羊毛、羽毛)、
建材に使用される化学物質(ホルムアルデヒド、VOCなど)
花粉 ブタクサ、カナムグラ、スギ、アカマツ、ススキ、ヒメガマなど
カビ アルテルナリア、ペニシリウム、カンジダ、クラドシポリウム、アスペルギルスなど
食物性アレルゲン 卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、大豆、いか、いくら、鮭、さば、牛肉、鶏肉、
くるみ、やまいも、オレンジ、キウイフルーツ、もも、りんご、バナナ、ゼラチン、
あわび、まつたけ、ごま、カシューナッツ
接触性アレルゲン 化粧品、塗料、衣服、金属、うるし、ラテックス(ゴム)、寝具類、ヨード、洗剤

※出典『アトピー・アレルギー克服応援ブック』NPO法人アトピッ子地球の子ネットワーク(著) 金岡出版

アレルゲンは表のようにくっきりと分かれるものではなく、食物性アレルゲンの小麦粉を吸い込んで喘息を起こしたり、卵が皮膚に触れて蕁麻疹を起こす場合もあります。また、食物性と吸入性の2種類以上のアレルゲンを持っている場合もあり、複雑化していることもあります。

食物性アレルゲンの場合、原因となるのは主に分子量の大きいタンパク質です。
通常は、消化酵素でアミノ酸まで分解されてから吸収されるため、IgEが反応してヒスタミンを放出することはありません。

しかし、子供の場合などは消化吸収力が未熟なためにタンパク質を十分に分解できなかったり、腸管が炎症を起こして腸管壁に穴が開き(リーキーガット)、未消化のタンパク質が血管内に侵入することで食物アレルギー反応を起こしてしまうことがあります。消化吸収能力が高まるにつれて、自然と症状が落ち着いてくることもありますが、一度アレルギーを起こすと抗体記憶により、抗原情報が残りますので注意が必要です。

アレルギー体質とは

アレルギー疾患を持っている人は、よく「アレルギー体質」と言われますが、これは体質的にアレルギーを起こしやすいことを指しています。アレルギー体質は、ヘルパーT細胞である「Th1」と「Th2」のバランスが崩れており、通常であれば異物として認識されない花粉やダニ、卵などのアレルゲンに対して過剰に反応し、IgE抗体を産生しやすい体質です。しかし、アレルギー体質であれば必ずアレルギーを発症するわけではありません。アレルギー発症は、アレルギー体質、アレルゲン、環境要因の3つが重なり初めて発症すると言われています。

また、アレルギーを引き起こす原因物質を、アレルゲン(または抗体)と呼び、ハウスダストやダニ、花粉、食べ物などが良く知られているアレルゲンです。アレルギー体質は、アレルゲンに対して過剰に反応する体質で、IgE抗体を産生しやすく、血液中の量が多いのが特長です。
IgEとは、免疫グロブリンEというたんぱく質で、アレルゲンと結合することでヒスタミンを放出する。ヒスタミンは炎症などの原因となる物質で、健康な人では微量しか検出されませんが、アレルギー体質の人は血液中に多く高値で検出されます。

アレルギーコップ

アレルギーを理解する方法として、「アレルギーコップ」という表現を使うことがあります。私達はだれもがアレルギーコップを持っており、アレルギー体質の人とそうでない人の違いはコップに「アレルギー体質」という要素が入っているかどうかの違いだという考え方です。

コップの中には、人それぞれのアレルゲンや食生活、生活環境、ストレスなどのアレルギー発症の要素が入っており、それらでコップがいっぱいになり、溢れる時にアレルギーを発症します。アレルギー体質の人は、そうでない人と比べて、アレルギーを発症する要素が多く、アレルギーを発症しやすくなります。また、コップの大きさは人それぞれで、重症度にも関係しています。大小はあるものの、どんな人でもコップに要素が蓄積されると、アレルギー発症のリスクがあります。

アレルギー体質の人で自分のアレルゲンが分かっている人は、日々の生活でそれらを除去するように注意し、食事や睡眠などの生活習慣にも気を付けることでアレルギー症状の発症のリスクを減らすことが見込めます。

アレルギー反応のメカニズム

  • 1. アレルゲンが体内に侵入し抗体が産生される
  • 2. IgE抗体は、粘膜などにある肥満細胞の表面に付着した状態になります(感作)。
  • 3. 再び体に同じアレルゲンが侵入すると、肥満細胞上のIgE抗体に結合しヒスタミンが放出され、アレルギー症状を発症