健康情報

ノロウイルスHEALTHCARE

愛育病院副院長 小児科部長 浦島 崇 監修

ノロウイルスについて

冬になるとインフルエンザや風邪など、いろいろな病気が気になります。ノロウイルスも寒くなると流行する病気の一つで、小さなお子様がいる家庭はしっかりと対策をしておきましょう。

ノロウイルスに感染すると激しいおう吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛などの風邪のような症状が出て、通常は1~3日で症状が改善しますが、抵抗力の弱い子どもや高齢者などは重症化し命を落とす危険もあります。

感染力が非常に強いものの抗ウイルス剤がないので、かからないように注意するしかありません。赤ちゃんは手指をなめたりしますし体力も少ないので、大人以上に気を付ける必要があります。また一度感染しても免疫抗体が長く続かないので、感染しやすい環境を変えない限り流行中は何度もノロウイルスが体内に侵入してしまいます。

ノロウイルスの感染予防

ノロウイルスには、石鹸やアルコールといった通常の消毒はほとんど効きません。
完全に失活化するには、次亜塩素酸ナトリウムや加熱といった方法になります。

調理器具等
洗剤などを使用し十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭くと
ウイルスを失活化できます。
まな板、包丁、へら、食器、ふきん、タオル
熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱が有効です。
二枚貝
二枚貝などを取り扱うときは、専用の調理器具(まな板、包丁等)を使用するか、
調理器具を使用の都度洗浄、熱湯消毒する等の対策により、他の食材への二次汚染を防止するよう、
特に注意するよう気をつけましょう。
枕、衣類
ノロウイルスは枕や衣類の表面でも数週間は生存します。
寝具や衣類は家族全員分を、洗い直して家庭内の感染拡大を防いでください。

赤ちゃんがノロウイルスに感染した場合

突発的な嘔吐や下痢を繰り返し、発熱がある時はノロウイルスに感染している疑いがあります。特に赤ちゃんの場合は嘔吐よりも下痢が長く続くことが多いです。

下痢や嘔吐で脱水症状になりやすいので、医師の指導のもとでイオン飲料や水分補給をします。嘔吐が続く間は、何も口にさせない方が良いと医師から指導されるケースもあります。または脱水症状が進行していれば点滴などの処置をとることもあります。赤ちゃんの脱水症状は命に関わる事もあるので、必ず医師の診察を受けて下さい。

母乳で育っている赤ちゃんは、いつも通り母乳をあげてOKです。ミルクより母乳の方が胃腸への負担も少ないので嘔吐がある場合も、1回の量を少なめにしてこまめに授乳しましょう。

症状が回復に向かっても、ノロウイルスは3週間程は生きている可能性があり、便や嘔吐物から排泄されます。ママの2次感染を防ぐため、おむつの処理をしたときは手をよく洗うなどして、十分気を付けてください。

保護者がノロウイルスに感染した場合

ママ・パパが感染した場合は、嘔吐や便の処理をする際には適切な方法をとり、赤ちゃんにうつらないように気を付けてください。

感染している場合でも母乳は赤ちゃんにあげて大丈夫です。母乳からウイルスがうつる事はなく、むしろママ・パパの体内で作られた抗体が赤ちゃんへ移行するので赤ちゃんの感染予防になったり、感染した時も症状が軽く済む可能性があります。